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皆さん、こんにちは!

 

本日の読書感想文は、

 

ポムゼル『ゲッペルスと私』2018 紀伊國屋書店

 

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です!
こちらは映画化もされています。

 

ご存知の方も多いかと思いますが、ゲッペルスとはナチスドイツでヒトラーの右腕と言われたヨーゼフ・ゲッペルス国民啓蒙・宣伝大臣のことです。
ある意味ヒトラーをつくりあげた1人と言っても過言ではない「プロパガンダの天才」です。

 

そしてこの本の主人公ポムゼルは、ある縁で1942年に国民啓蒙宣伝省でゲッペルスの秘書(と言っても秘書の秘書みたいな感じでポムゼル自身は数回ゲッペルスを見ただけと言っている)をしていた女性。

彼女へのインタビュー形式で本著は進むけれど、インタビュー当時は103歳(2017年106歳で死去)。

ポムゼルは貧しい家庭の出身でしたが、しっかり教育を受け、まず初めに国営ベルリン放送局で働きます。その後宣伝省に移り終戦までの3年間勤務するのですが、その事自体も周りから羨ましがられて本人も鼻が高かったと言っています。

 

しかしゲッペルスのいる宣伝省で勤務していながらナチス政権が後世に伝えられる酷い事をしている事実は知らなかったと強く言っています。むしろ、知ろうともしなかったと。
「家の近所で仲良くしていたユダヤ人家族がいなくなっていたり、ユダヤ人に対する噂は聞いていたがそこまでの事をしているとは知らなかった、私は忠実な秘書として仕事をした。何も悪くない」とインタビューにこたえている所は何とも言えない感情が込み上げてきました。

案の定、悪名高きナチスドイツの宣伝省で勤めていたという事から戦後多くの人から「あなたは絶対にユダヤ人虐殺を知っていた!」や「あなたも同罪だ!」など言われたみたいです。

 

反ユダヤ主義者でもなく、とりわけ政治意識の高い人でもない。
だからこそ本人には悪意があったとは思えないけれど、ナチスの事を知っている我々には彼女の訴えに対してどうしても??とその全てを理解出来ないのも事実。

我々の近くにヒトラーがいて、ポムゼルがいるのかもしれません。

300ページ弱もある読み応えにある本ですが、現代にも繋がる多くの事を教えてくれます。

 

何故この本を紹介しようと思ったのか?

それは語学学校の授業で先生が「皆さんは周りの人、例えば家族や友達と日頃政治の話をしますか?」という質問をした時に「日本では政治の話はあまりしません」と私は答えました。
そしたらフランス人の先生は「確かに日本人が政治の話をする印象はほとんど無い」と仰ってました。
その言葉に私は何かピーンときたのです。

フランスは周知の如くデモやストライキの国。

良くも悪くも国民の政治に対しての関心が高い(もちろん政治の話をしたがらない私のフランス人の友人の様な方もいます)。

それは世界に多大な影響を与えたフランス革命で民衆が権力者に勝ったという成功体験がフランス国民のアイデンティティーとして今に残っているからだと言う人もいますが、私はそれに加えて、政治家の意思決定が自分達の生活に大きな影響を与えるという事をフランス国民は良く知っているからだと思います。
何か起こった後のフランス人の動きのスピーディーさは本当に驚きますが、その行動力やスピーディーさを行政手続きに役立てろよ‼️と私はツッコミたくなります笑😆

 

ここまで話してきて、私は政治の話をする事が偉い、高尚だ!とか、話さないとダメだ!という表面的な事を言いたいわけではありません。
そうではなく、

政治に対しての無知、無関心、受動的態度、ご都合主義は恐ろしいという事をお伝えしたいのです。

この本を読む前まで、私は中東やアフリカ情勢を見て、常日頃から「政治」を意識していないといけない不安定な社会より、日本の様に総理大臣や他の政治家を面白おかしくいじったり、ネタにしてワイドショーで話している位が幸せだとさへ思っておりました。

でも政治という人間の汚い部分をどうしても見なければならないモノに関わらないで、一歩引いた所にいる自分カッコいい!という日本的エリート・知識人や「誰がやったって日本は変わらないよ」と何かにつけて言ってしまう人の様なニヒリズムはポムゼルの様になってしまうのです。

 

70年以上も前の話で、あらゆる分野での技術革新によって当時とは比べ物にならないくらい我々の生活が豊かになっている現在でも、人間の本質的なところはあまり変わっていないのかもしれません。

 

政治を学びたければ「人間」について知ろうとすること。

と、私の政治の師が仰っていました。

 

フランスに来てもうすぐ2年。
環境政策をはじめこちらで学んだ事は多くありますが、政治に対しての国民の温度差は1番新鮮だったかもしれません。

あと数年で学べるものはトコトン学んでやろうと思います^ ^