皆さん、こんにちは!
本日ご紹介する本はこちら!
François Flohic 「De Gaulle, le désir d’exil」
(邦題:ド・ゴール、亡命の願望) のような感じ。
※フランス語の本です。
著者François Flohic氏(1920-2018)は元海軍将校で1940年の最初からド・ゴールに従い(自由フランス海軍)、1960年代ド・ゴールが大統領の時に補佐官を勤めた方です。
彼はド・ゴールの信任の厚い方だったみたいで、重要な場面に必ずいます。
内容は、1968年5月にフランスで起きた「5月革命」時のド・ゴールや彼の周りの人達がどの様な発言をし、どの様な決断をしていたのかを1人の「目撃者」として書いているものです。
コロナ危機に際して、各国首脳がどの様な対応をしているのかを比較できる時期に来たと思い、この1年半の出来事をザッと見直している中で、危機に際してド・ゴール大統領はどの様にしてそれらを乗り切ったのか?という疑問が浮かびました。
両世界大戦、アルジェリア戦争、5月革命など。
そして、書店でブラブラしていたらこの本を見つけて購入しました。
旧パリ大学を起点に始まった過激な学生運動。
そこからあらゆる左派系団体や企業を巻き込み、それがパリだけでなく他の都市まで拡がり、フランス社会が全く機能しなかった1か月間。
政府も労組や学生団体と話し合いの機会を求め良いところまで行っても結局はまとまらず。。因みにその時政府の雇用担当大臣として労組関係者と交渉していたのが後に大統領となるジャック・シラクです。
この本を読んで衝撃だったのが、実はド・ゴール大統領は反対勢力のフランス共産党や社会党のミッテラン(後の大統領)だけでなく息子さんに「もう引退した方がいい」と諭されていたのです。
そしてド・ゴールは5月29日に突如ドイツのBadenへ秘密裏に逃亡するのです。
その時に一緒に従った著者は当時のド・ゴールについて「2人のド・ゴールがいた」と言っています。
それは、大統領の職をすぐにでも辞したいと強く思っていたド・ゴール。
そしてもう1人は、Badenに会いに行ったMassu将軍の叱咤激励で蘇り、この危機を打開しようと決心したド・ゴール。
そして、ド・ゴールが出した決断は、パリへ戻り6月に議会を解散するという離れ業だった。
それにド・ゴールを支持する勢力が勢いを増し反対勢力である社会党や社会党系の団体はどんどん押される形となった。
つまり、反対勢力である社会党などが主張していた「議会制民主主義の名の下で政府を作り直しド・ゴールは引退すべきだ!」という主張を逆手に取ったのです。
元々ド・ゴールは危機終結の解決策をRéférendum(国民投票)にかけようとしていた。
しかしこの案はポンピドゥー首相などの反対にあう。
そこで議会の解散をしたわけです。
当時のド・ゴールは77歳。凄まじい。。
ド・ゴール本はこれで3冊目。
どれもド・ゴールの英雄的側面を中心に描いていましたが、今回の本は新たなド・ゴールの一面を私に見せてくれました。
また本著は5月革命を日付毎に追ってくれているのでありがたかったです!!
残念ながら、まだ、翻訳はないようです。