8月30日夕方、部屋にこもっているのも疲れたので雨模様ながら散歩に出かける。
あてもなく11区の自宅からセーヌ川を渡り5区へでる。そこから13区にあるオーステルリッツ駅まで出て久しぶりに駅のホームで黄昏た。
ストラスブールにいた時からそうだったが、フランスの駅のホームで何も考えずにボーッとしたり、読書をしたり行きかう人々を見るのが私は好きだ。
因みにGare d'Austerlitzはパリの主要ターミナルの1つでパリ郊外のオルレアンやトゥール、ボルドーそしてトゥールーズへ行く路線が通っている。
私もトゥールーズへ帰る際はこことモンパルナス駅をよく使っていた。
が、現在駅構内では大きな工事がされていて残念ながら私が好きな駅の雰囲気を味わうことはできない。
このような近代的な雰囲気↓は私好みじゃないが、歩き疲れて少し休憩と思いいつも通りホーム横のベンチに座った。
だがしかし、やはり駅はいい。
そこからは大きな荷物を幾つも転がしている家族、出発する列車に遅れまいと「すみません、すみません」と言いながら必死に走っている男性、また列車の前で別れを惜しみながら強く抱き合っているカップルなどがよく目に入った。
二度と会うことのない、名前も知らない人たちが偶然に交差する場所、それが私にとっての駅。
駅の従業員でも旅行者でもない第3者として私がそこで交差する多くの人たちをただただ見ているのは、どこでも同じようでいて実は同じでない情景がたくさんあるから。
目に入ってくる人々の同じ動きの中にこちらの想像力を新たに掻き立てる何かが駅にはあるように思う。
確かに旅行によってマンネリした現実と距離を置くことが出来る。私も旅行は大好き。でも旅行に出掛けなくても(同じ濃さではないにしても)現実と距離を置くことが出来る。それが今の私にとって読書と駅なのかもしれない。
※オーステルリッツ駅はパリメトロ5号線の列車が駅構内を突っ切る構造になっている。かなり野郎心をくすぐる。私は鉄道マニアではないが。
さて、
そんなこんなで30分程ベンチで休んでいたが、5区で働いているパートナーから職場を出たという連絡を受けオーステルリッツ駅で合流し一緒に家路に就く。
駅でボーッとしてフワフワした感情が残っていた私だったが、合流してすぐパートナーから「駅にはスリが多いのだからそんなところで長時間いるもんじゃない!」とガツンと叱られ、すぐに現実に戻された。
【おまけ】
セーヌ川とオーステルリッツ駅を出発した地下鉄の列車。
その奥にはフランス経済財政省の建物が見える。