8月6日(火)午前10時30分
バイトに行くためにパリ地下鉄14号線に乗った。
オリンピックのためガラガラな車内。地下鉄に限らずオリンピック観戦者以外パリの町には人がいないのでは?と思うくらい閑散としているのが現在のパリ。
それもそのはず、オペラ地区をはじめ多くの道が閉鎖され、セーヌ川もQRコードが無ければ渡ることが出来ない。つまり徒歩で移動するのがとても面倒なのだ。
オリンピックが始まる前に「一体公共交通機関はどうなるのだろうか」と戦々恐々としていた自分は何だったのだろうか???
私は入口入って反対側にある1人用の座席に座り本を読んでいた。
座った座席はバイト先の最寄り駅Gare de Lyonまで開かないので私はそこが空いていたらいつも座る。
2駅ほどが過ぎて列車は順調に進んでいく。
あと5分でGare de Lyonに到着する。
そう思っていた矢先隣の車両に60代後半~70代前半くらいの黒人の男性が紙コップを持って「お金ちょうだい~」と言いながら私がいる車両に向かって来るのが目に入った。
パリではこの様なジプシーが老若男女問わずどこにでもいる。
恐らく彼らを見ない日はないのではないか?と思う。
ジプシーはスリをしたり暴力的な事をしたりはしないが、中にはとても異臭を放ち鼻をおさえたくなる人もいる。
私はジプシーに限らずちょっと変だなと思う人から話し掛けられたら基本無視をする。
一度ストラスブールで大学までの通学路に居たおそらく50代のおっちゃんに「お金くれー」と言われ、何も知らなかった当時の私は彼を見て同情してしまい2€を渡してしまった。
そしたら私をカモと思ったのかその後一週間ほど付きまとわれてしまい、とうとう寮まで来て「お金もっとちょうだい」と言って来た。その時は寮の守衛さんが追っ払ってくれたのだがその守衛さんには強く「フランスに限らずヨーロッパではああいう人を相手にしては絶対にいけない!!!」と口を酸っぱく言われた。
地下鉄14号線のその人が目に入った瞬間私は無視することを決めずっと目線を本に注いでいた。
とうとう私の目の前に来たその人は私を見るなり「Monsoeur ニーハオ」と言ってきた。こちらではアジア人は皆中国人なのだ。
そんなんなのでニーハオと言われるのは慣れっこで私は無視して読書を続ける。
そしたらその男性は突然「Sorry.コップンカー」とまさかのタイ語で言い直してきた。不覚にもプッと吹き出してしまいその人を見たら前歯が何本か無かったが愛嬌のある顔をしていた。私の反応が嬉しかったのかその後何回もコップンカー、コップンカーと。
何故にタイ語をチョイスしたのかは分からないが初めての経験でおかしくて、笑わせてもらったお礼に、前日のバイトで貰ったチップがたまたまポケットにはいってたからちょっとあげちゃった。
彼は手を合わせて嬉しそうに「コップンカー」と言って去っていった。
世の中にはいろんな人がいるもんだ。
【おまけ】
先日行ったフォンテーヌブロー城です!