フランス留学生の日記

時々更新!フランスでの日々を投稿しまーす!

本棚12 『原敬』清水唯一朗

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皆さん、こんにちは!!!

かなり久しぶりの本紹介です!!

本日は先月半ばに日本にいる母から送ってもらいましたこちらの本↓です!

清水唯一朗 『原敬中公新書

https://amzn.to/3LlTEXK

私が日本の総理大臣で1番尊敬している政治家なので他の原敬本を何冊も読んで来ましたし、盛岡の「原敬記念館」↓へももちろん行ったことがあります!

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記念館でみた私が今でも1番印象に残っている展示品が、彼の読書メモです。館内撮影が出来なかったので写真はありませんが、フランス語で書かれた数枚のメモを見てその勉強された形跡にとても感動しました。

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※写真を撮った日を見ると2015年3月15日!!

 

〈彼の生涯〉

原敬については歴史や政治に関心がない方でも学校の教科書で「平民宰相」や「日本初の政党内閣」樹立者として書かれていてご存知かと思います。

賊藩である南部藩(原家は祖父が家老を務めた上級士族の家柄)の出身。井上馨陸奥宗光伊藤博文の寵愛を受け新聞記者→外交官→官僚→企業経営者→政治家と変遷。1900年に立憲政友会へ参加し東北地方出身者として初の大臣を歴任し(逓信大臣・内務大臣)、そして後に第19代内閣総理大臣として様々な政策で辣腕を振るいます。

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在任中は「平民宰相」の名とは反対に普通選挙法改正に反対(→国民の政治意識がまだ未熟だからとの判断)したことで「非立憲的‼️」や彼の政治手法から「独裁的‼️」とかなり不人気でした。また今でも彼を批判する人から1番に言われるのが彼の利益誘導政治的側面です。ただ、大衆迎合をとことん嫌い、冷徹なまでの現実主義者。でも全てにおいてマキャベリスト的な人物か?と言うとそうではなく、人間的な魅力も強く備えた人物で心温まるその人間臭いエピソードは枚挙にいとまがない。彼は1921年11月4日に東京駅で右翼の少年に刺され65歳で亡くなりますが、彼があと10年居てくれたら昭和ももう少し違ったのではないかと強く思いますし、私にとってそう思える唯一の政治家です。

 

政敵であった山縣有朋を徹底的に潰す反面彼へのフォローも忘れず、原敬が暗殺された事を知った山縣有朋はそのショックのあまり高熱を出し寝込んでしまいます(山縣も翌年すぐ亡くなります)。

 

〈おススメポイント〉

さてこの本の面白い所は、今まで読んで来た原敬本とはかなり違う視点で彼を見つめている点です。今までの本は、明治の近代国家「日本」建設の物語の延長として、

旧長州・薩摩藩を中心とする藩閥政府

vs

賊軍出身の政党政治家・原敬

という構図をもって、それに打ち勝つことが出来た立志伝中の人として原敬を捉えていました。もちろんその捉え方も間違ってはいません。ただこの本では、明治から大正へと世が変わり、世の中が明治時代よりもより複雑になっていく中で原が抱いてきた思想や考え、そして実現してきた物を同時代の評価と照らし合わせて論じている点です。つまり立体的に原敬の実像に迫れるのです。

原敬をあまり知らない方には彼が政治家になる前の記述はとても面白いと思います!!賊軍出身の彼が職を転々としながらも、フランス語力と事務処理能力を持って上へ這い上がっていく姿。また、各地を回って捉えた視点は本当に面白いです。

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私の勉強机↑には原敬の写真を置いています。

本棚には河井継之助の写真を置いています。

〈小話〉

フランス繋がりで。彼は1886年1月〜1889年4月までの約3年3ヶ月をパリ公使館で勤めていました。彼はパリ赴任前中国・天津での実務経験からフランス語力と国際法の理解がまだ足りないとのことで仕事で多忙な合間を縫って日本公使館へ出入りしていたフランス人からフランス語を学び、夜は国際法だけでなく哲学書を原書で読み漁ったと言います。また一時期はパリ政治学院で授業を聴講していたとか。この時期に書かれた読書メモ📝が私が記念館で見た物だったのです!!!

 

また少し脱線。当時のフランス語の影響力もありましたが(もちろん今も多少あります)、私はこの時代の言語学習における多様性が本当に好きなんです。つまり、

法律関係はフランス語🇫🇷

海軍は英語🇬🇧

陸軍や医療関係はドイツ語🇩🇪

みたいな何となくの棲み分けの事です。今、日本の政治家でも語学が堪能な人は多くいますがほぼ全員英語ですよね。日本の第二公用語を英語にしよう!という政治家も居るくらいですからね(←私は絶対に反対です)😅

時代の変化と共に色々な物が変わりますし、国際公用語としての英語というのももちろん理解しています。ただ何となく英語一辺倒な所は好きではない私です。

 

因みに原がパリにいた時にまさにあのエッフェル塔が建設されている最中↓で、また彼がパリで住んでいた家は現在「Amarante Champs-Elysees」↓という⭐️⭐️4つ星⭐️⭐️ホテルになっているみたいです!

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以上、おすすめ本紹介でした!