フランス留学生の日記

時々更新!フランスでの日々を投稿しまーす!

本棚17 政治家の本②

4月29日(金)àトゥールーズ。最高気温22°。
曇り時々晴れ。風もなく穏やかな1日だった。
ただ朝晩はまだ寒い。

さて、
本日は私が読んできた政治家の本紹介第二弾!


前回は名官房長官と言われている後藤田正晴氏の本↓を紹介しました。
https://masafra.hatenablog.com/entry/2022/03/17/160000


今回は私が戦後の総理で尊敬している中曽根康弘元総理の著者を紹介します!

1.『保守の遺言』

これは大学1回生の時に京都の三条京阪BOOKOFFでたまたま見つけて読みました。
当時の私には少し右派的だなぁと思いながら読み進めてました。
ただ、衆議院議員秘書になってから読み返した時はすーっと入ってきました。
日本の伝統、文化を大事にするという政治家、論客は星の数いるが果たしてその方々は「保守」の本当の意味を知っているのだろうか。
私がチェックしたところは
天皇の存在→いかなる政権も天皇家を廃絶しなかった
②日本は自然国家→アメリカ、ソ連と違い契約やイデオロギーによって成り立っているのではなく、歴史の堆積によって形を変えながら続いてきた
③わび・さびの心→華美な装飾より簡素を好み無我の境地を目指す
松尾芭蕉の不易と流行→上記の様な物を大切にしながらその時代時代に新しい文明・文化を取り入れ消化した。

これら日本の伝統、文化、歴史を大切にしながらその精神を受け継ぎつつ常に新しい社会へ挑戦・改革をするのが「保守」だという。
日本の歴史は保守そのものであるという。

そしてこれらの伝統、文化を基にグローバル化によって起こる多様な価値観を認める経済力のある文化国家を目指すべきであると同氏は語る。

これ以外にも憲法教育基本法の問題、自らの政治体験が書かれており面白かった。


2.『自省録』

中曽根氏の有名な言葉に「政治家は歴史法廷の被告人である」がある。
まさにこの言葉がこの本の表紙に書かれているのだが、個人的にこの本で面白かったのは2章にわたって書かれていた「 人物月旦 」だ。
戦後日本の有名な政治家とサミットなどの国際会議で同席した海外の政治家の印象や評価をしている。
フランスにいる身としてはフランスのミッテラン大統領とのやり取りは面白かった。
フランスの教養人と日本の教養人のやり取りとはこんなもんか!と思いました。

3.『天地有情

何人かの人と対談形式で中曽根氏の幼少期から議員退任までを辿るある意味回想録に近い本。鈍器みたいにとても厚い本ですが、かなり読み応えあります。
この本に限らず私は政治家の本を読む時は、その政治家の思想部分にとても関心があるのでそれが形成された幼少期や学生時代(中曽根氏の場合第二次世界大戦も)を特に注視して読みます。なので中曽根氏が旧制静岡高校時代にフランス語をやり、哲学書を読み漁り友人たちと語った日々は私には輝いて見えました。
大正時代の教養主義的な雰囲気はとても好きです。


4.『わたしがリーダーシップについて語るなら 』

1年毎に目まぐるしく変わる日本の総理大臣にあって5年以上にわたって総理大臣をつとめた中曽根氏。
海軍時代の習慣から始まり、戦後日本統治におけるマッカーサーへの不満、などエピソード満載!そこには同氏のブレることのない思想があった。1955年の保守合同で初めて与党議員になるのだが、「行革は痛みをともなう。犠牲になる人への手当てをつぎつぎやっていかなければ改革は成功しない」など影響や弱者への視点を忘れず、また外交においては、「国家と国家の結びつきは首脳同士の友情がなければ本物ではない」という。
レーガン大統領を日の出山荘の別荘へ迎えて蜜月をアピールしたもの頷ける。

自分の出来る分野でとことん頑張ることの重要性も書かれている。

5.『なかそね荘』

読売新聞の渡邉恒雄氏、先日亡くなった石原慎太郎氏との対談本。
小泉劇場最終局から民主党政権崩壊あたりまでについて意見を述べられている。
同い年の田中角栄が道路族として日本の道路整備の道筋をつけるなら、俺は原発関係で日本のエネルギー整備に道筋をつけるとして科学技術庁長官をつとめた。
それが2011年の福島原発事故で転換を余儀なくされる。そこについて同氏はどの様に考えていたのか。


6.『中曽根康弘

この本は中曽根氏がご存命の時に書かれた本です。
中曽根康弘という政治家を知るには丁度良い位にコンパクトにまとめられています。
中公新書はこれだから好きです^ ^



以上、政治家の本②でした!!!
100%の賛成も、100%の反対もないのが政治家。私の周りには同氏について「風見鶏であっちにフラフラ、こっちにフラフラしていた印象しかないから評価しない」や「彼の経済政策のせいで日本はバブルを迎えて崩壊し、今に至る」と中々厳しい評価の人が多い。

確かに彼の行った経済政策について❓❓❓がなくはありませんが、今のこの状況は彼が作ったのではなく(大元は彼であったとしても)その後の日本の経済政策が失敗してきたからだと思います。

私が中曽根氏を尊敬しているのは彼がヨーロッパの政治家の様な感性で社会を引っ張る事が出来たからです。つまり、確固たる信念をもって国民にうったえかけ、実現する。その為の準備は怠らない。

もちろん時々の政治的妥協などはありますが、一国の総理として「大統領的首相」と言われた政治手腕は学べる事が多いと思います。

数合わせや当選回数等で大臣や総理になったりする日本政治。
そろそろ辞めようよ、と言いたくなります。

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